【小説】( ^▽^)<桃色ダイアリー>(^〜^0)【カモンナ】

1 名無しNHK 2002/05/05(日) 01:32
レールが無いまま見切り発車。ゴーゴーレツゴー
ざっくりとしたお約束等は>>2に。
2 名無しNHK 2002/05/05(日) 01:38
*好きなときに、好きな人が、好きなように書いてください。
 「普段は読者だけど、試しに書いてみようかな。。」という人大歓迎。
 勿論、普段からザクザク書いてる人もバリバリとどうぞ。

*複数の更新がまざっちゃうと、書く方も読む方もショボーンなので、こんな感じで。
 1.連絡スレで、「今から書くよほ。。」宣言する。
 http://jbbs.shitaraba.com/music/bbs/read.cgi?BBS=605&KEY=1014392444
 2.うpが終わったら、同様に連絡スレで「終わったよほ。。」宣言を。
 レス番号も添えておくとわかりやすいですね。

つづく。
3 名無しNHK 2002/05/05(日) 01:42
*厳密なリレー小説にしちゃうと、
 「ガーン、せっかく続き書いたのに、他の人が続きもう書いてた。。ボツだ氏のう」
 が起こりがちでイヤーソなので、そんなにガチガチリレーじゃなくてよいと思います。

*「この先がどうしても書けない!誰か続き書いてよヽ(`Д´)ノウワアアアアン」
 という場合には、その旨わかりやすいよう、連絡スレに記載を。
 その続きを書こうという勇者は、書く前に「ほな自分書きまっせ」と立候補してもらうと、
 他の人との「かぶっちゃったよヽ(`Д´)ノ」が防げてよいのかな。

つづく
4 名無しNHK 2002/05/05(日) 01:44
*まあ、そうはゆうても「ヤパーリ書けないやスマソスマソ」が起こるのも世の常。
 その場合には、連絡スレにその旨書いてください。

こんなとこかなあ。
まあ、あとは進めながらテキトによしなに。
5 はじまりです 2002/05/05(日) 01:46
「ちょっとよっすぃ〜、まだ全然片付け終わってないんだから〜
 テレビは後にしてよ。。」

未開封の段ボールの山の間にしゃがみながら、石川は口をとがらせる。
「これほとんどよっすぃ〜の荷物なのに!もう!」
「だってほら、もう始まっちゃうから、続きは後にして見ようよ、梨華ちゃん。ね?」
けろりとした顔でテレビの前に座る吉澤。

「吉澤はどうせほとんど毎日石川のところに泊まってるんだったら、
 ちゃんと一緒に住んで生活費も半分ずつ払うようにしなさい」
と、事務所や親に言われて、「なんだ早く言えよ」とばかりに
物凄い勢いで二人暮しの準備を進めた石川と吉澤。
で、晴れて今日、新居にお引越しとなったわけだが。。
6 はじまりです 2002/05/05(日) 01:46
「もう、しょうがないなあ。。よっすぃ〜、後でちゃんと片付けてよ。。」
言っても無駄か、とばかりにあっけなく説得を諦めた石川は、
段ボールの間をぬって、ねりねりと吉澤の隣に進む。

「なんかさ、」
二人でテレビを見るときのお約束の体勢になって(詳細自粛)、
吉澤がつぶやく。
「ん、なあに?よっすぃ〜」
ちらっと後ろを見ながら(←お約束の体勢のヒント)石川が促す。
「緊張、するね。あたしだけかな?梨華ちゃんは?」

「ん、テレビが?それとも。。」
二人で住むことが?と続けようとして、違ったら恥ずかしいじゃない!
と気づいて口ごもる石川。
そんな微かな反応もお見通しの吉澤が、
「両方が、だよ」とクスッと笑う。
ほんの少しだけ、腕に力をこめながら。(←大ヒント)
7 はじまりです 2002/05/05(日) 01:47



番組が始まる。そして終わる。



「・・・ねえ、よっすぃ〜、言っていい?」
「・・・うん、なあに?」
「もう少し、お仕事のときは、その、嬉しいの、我慢したほうがいいかな?」
「うーん。。。。。。嬉しいものは嬉しいんだもん。仕方無いよ!グレイトだよ!」

http://www68.dns.ne.jp/~bbs2/upload3/helen/OB0003535.jpg
8 はじまりです 2002/05/05(日) 01:48
「よしっ!じゃあ片付けの続きするよ!」
皆様の期待を裏切って、あっさりと吉澤の手をほどいて立ち上がる石川。

「え〜、なんで梨華ちゃんそんなに張り切ってるのさ〜。。」
麺棒を部屋に散らかしてる梨華ちゃんはどこに行っちゃったんだよほ。。
てか、普通はここで我慢せずに甘々な展開になるんじゃないのかよほ。。
と思いつつ、しぶしぶ立ち上がって、段ボールをうりゃっと蹴っ飛ばしてみる吉澤。

そんな二人暮しの、はじまりです。     

(了)
9 名無しNHK 2002/05/05(日) 01:53
大興奮!
10 名無しNHK 2002/05/05(日) 02:04
いいかんじ
11 373 2002/05/05(日) 02:11
まさにいいことある記念の瞬間!!
12 名無しNHK 2002/05/05(日) 02:13
感想スレってゆーか、方針を相談スレっつーのも別で立てん?
ここは小説専門で。
13 名無しNHK 2002/05/05(日) 02:15
>>12
ごめん自己レス。

http://jbbs.shitaraba.com/music/bbs/read.cgi?BBS=605&KEY=1014392444
でやればいいんだよね…。
14 名無しチャーミー 2002/05/05(日) 03:34
二人でせっせと片付けを頑張ったおかげで午前12時を回る頃には
ダンボールの数もかなり減っていた。 
「今日はこのくらいにしよっか」
「うん梨華ちゃん。」
15 名無しチャーミー 2002/05/05(日) 03:42
ここはしんと静まりかえったベッドルーム。(ピンクのダブルベッド)
「梨華ちゃん・・口で・・・お願い」 
「・・・うん・・」
実は梨華は昨日から『オンナノコの1週間』を迎えていた。
当然、若い二人には日課になっていると言っても過言ではない愛の営みが
プツリと途絶えてしまう1週間なわけだが。
もちろんひとみが1週間も我慢できるわけがなく・・・。
ひとみの辞書に『禁欲』という言葉はない。(皆さんご存知の通り)
梨華はいつからかこうしてひとみのお願いに応えるようになっていた。
16 名無しチャーミー 2002/05/05(日) 03:55
布団の中へ潜り込み、体をひとみの下半身の方へと移動させる。 
ゆっくりとひとみの黒のジャージに手をかけ、ショーツともども引きずり降ろす。 
と、「んっ・・」とそれだけで感じてしまっているお馬鹿なエロ旦那が
我慢できずに声を漏らす。
(ほんとによっすぃーはやらしいんだから) 
だんだんと自分の顔が熱くなってくるのを感じながらも、梨華はそっと
唇をひとみのそれにあててみる。はちきれんばかりに大きく膨らみ堅くなっている
つぼみを直に感じる。
「んんっ・・はあっ・・・」   
体をびくつかせるひとみがかわいくて、梨華は一気にそれを口に含み、
舌で器用な愛撫を始める。
17 名無しチャーミー 2002/05/05(日) 04:10
10分も経たないうちにひとみは果ててしまい、最近の多忙なスケジュールも
手伝ってか、すぐに眠りについてしまった。
そんなひとみに少し空しさを感じつつも、梨華は起こさないように注意を
払いながら後始末をする。
(よっすぃー・・・) 
口を半開きにして眠りこけているひとみの頬に優しく口付ける。
ひとみが愛しくて愛しくてたまらない。
(でも、何もこんなにさっさと寝ちゃう事ないんじゃない?!) 
梨華はひとみの寝顔を見つめながら、声には出さずにちょっと意地悪な事を
口にしてみる。
「ねえ。自分がほ○茎だって事、気付いてるの・・?」 
当然返事は返ってこない。
ひとみの肩にぴったりと顔をくっつけると、梨華もあっという間に眠りに 
ついてしまいそうだった。
「よっすぃー。これからよろしくね。・・・好きよ。」
数秒後、二人の寝息が暗闇の中に響く。
18 名無しチャーミー 2002/05/05(日) 04:11


            了
19 3人目。 2002/05/05(日) 06:52
いち、にい、…今日でもう三日目か。
荷物も随分片付いてくると、ここが自分の家なんだなぁって
なんか妙に嬉しくなって、思わず笑いがこみ上げてしまう。
「ははっ、あははっ。」
「どうしたの?」
一緒にテレビを見ていた梨華ちゃんが急に笑い出したあたしに驚いて
上目づかいに覗き込んでくる。
その仕草があまりにも可愛すぎて思わずぎゅっと抱きしめてしまう。

「幸せだなぁ〜って思ってたんだ。」
そう言って頬ずりすると擽ったそうに「私も幸せだよ」とあたしの肩に
顔を埋めながら首に腕をまわしてきた。
20 3人目。 2002/05/05(日) 06:52
「ね?」
「ん?」
「もしさ、うちらの事がみんなにバレたらどうする?」
「もう知ってるじゃない。」
「ちっがぁうよ〜。マスコミとかぁ、ファンの人にぃ。」 ・・・( `.∀´)<もうバレてるよほ。
あたしの言葉にう〜んと眉をハの字にさせて考えるような仕草をしたかと思うと
ふと、何かを思いついたように見上げてきた。

「じゃあ、ひとみちゃんだったらどうするの?」
「あたしだったら言っちゃうね、『梨華ちゃんが好きだぁ、文句あっかぁ』ってさ。」
意味なく自慢げに言うあたしに梨華ちゃんは肩を揺らして笑ってる。
「ひとみちゃんらしい。」
「なぁ〜んで笑うかなぁ。」
「だって、『文句あっかぁ』って可笑しいよ…フフッ。」
「なんだよぉ、梨華ちゃんだったら何て言うのさ。」
それは〜と言いながら梨華ちゃんの顔が赤く染まっていく。
21 3人目。 2002/05/05(日) 06:53
「私だったらぁ、ひとみちゃんは私のものだぞって誰にもあげないぞって
キスしちゃう…。」
「みんなの前で?」
「うん…(ゴニョゴニョ)」

(ちょっとそれ、かなり嬉しいんですけど…)
そんなことしなくてもあたしはずっと梨華ちゃんもモノなのにと思いつつ
なんだか堪らない気持ちになってしまう。

「どんなキスするの?軽いの?深いの?」
照れて俯く梨華ちゃんの顔を覗くと軽く触れるだけのキスをくれた。
「それだけ?そんだけだったらみんなに伝わんないよ。うちらの愛がさ。」
今度はあたしの方から梨華ちゃんの唇に自分のそれを重ねた。
長い長〜いキス。お互いを確かめるように絡ませて「ん…ぅんん」と
梨華ちゃんの溜息が漏れる。
22 3人目。 2002/05/05(日) 06:53
「これくらいしとかないとね。」
唇を離してそう言うと、
「もう、バカ…。」と梨華ちゃんは笑った。
「バカって、キスしたこと?やけたこと?」
わざと意地悪を言うと「バカバカバカっ」とあたしの肩を叩いてくる。
あたしは梨華ちゃんの手を掴んで
「バカバカいうやつにはお仕置きだぁ〜。」
もう一度キスをしながらいつものように梨華ちゃんを押し倒した。

ああ、毎日できるって幸せだなぁ。
23 3人目。 2002/05/05(日) 06:54

        了
24 4日目 2002/05/05(日) 13:40
今日はオフだっていうのに、梨華ちゃんがそばにいない。
ユニット別のリリースの季節が来るたびに、こういう切ない想いをしなきゃいけない。
特に今日は、当たり前みたいにこの3日間ずっとそばにいたものだから、
ん〜……なんでココにいないんだよぉ、って、妙に腹が立ってくる。
朝、梨華ちゃんが出掛けに、まだ布団にくるまってウトウトしてたあたしのほっぺたに
キスしてくれたのは、なぁんとなく覚えてる。
こんなことなら、しゃんと起きて、梨華ちゃんの顔を見ればよかった。
だいたい、なんであたしはオフなのに、梨華ちゃんはオフじゃないのさ。
もったいないよ。こんなにいいお天気なのに。
ふたりで公園とか散歩したら、きっと楽しいだろうなぁ…。

お腹が空いたから、インスタントラーメンを作った。
火を止めてから、卵をふたつ落とした。
食べ終わると、漫然とテレビを見てた。
面白くない。
とりあえずあたしは、部屋の端に残ってる、まだ開けてないダンボール箱を片付け始めた。
でも、それはたいした暇つぶしにはならず、1時間ぐらいで終わってしまう。
25 名無しチャーミー 2002/05/05(日) 13:41
部屋には、ベッドがふたつ並んでる。梨華ちゃんのやつと、あたしが持って来たやつ。
そのうち、ダブルを買いたいなぁ。
いっしょに家具屋に行って、広い店内を丸一日掛けてふたりで回る。
きっと楽しいに違いない。

梨華ちゃんのベッドにごろりと横になった。
天井を見る。
閉めた薄手のカーテンを通して入ってくる午後の光で白く照らされた天井。
梨華ちゃんは娘。に入ってからずっと、
落ち込んだときも、嬉しいときも、この天井を見て眠ったんだ。
ごろんと寝返りを打って、うつ伏せになってみる。そのまま、枕に顔を埋めた。
梨華ちゃんの、匂い、が、する。
甘くて、香ばしくて、夢のような、梨華ちゃんの匂いが。
目を閉じて、想像してみる。

本番中も、お仕事って意識抜きであたしに笑いかける梨華ちゃん。
妙に意地を張って、膨れっ面の梨華ちゃん。
そして、月明かりだけでうっすらと照らされた、梨華ちゃんのふだん見せない表情。

それらは、角砂糖みたいにゆっくりとあたしの胸のあたりで溶け始める。

15分ぐらいのち、けだるい身を起こして、ベッドサイドの目覚し時計を見た。
まだ、3時前。
あたしは大きくため息をつく。
26 名無しチャーミー 2002/05/05(日) 13:42


「ただいまぁ」
すっかり夜の帳が下りたころ、玄関先で梨華ちゃんの声がした。
部屋でビデオを見てたあたしはすぐに立ち上がって、ドアの隣で待ち構える。
「よっすぃー? ただいまぁ」
声が近づいてくる。
ドアが開いた。
梨華ちゃんが入ってきた瞬間、あたしは横からワッと一気に抱き締めてあげる。
「きゃぁあッ?!」
悲鳴が上がる。
想像してたとおりの声に嬉しくなって、あたしは梨華ちゃんの顔にキスの雨を降らせる。
「よっすぃー…! もうっ、おどかさないでよぉっ」
胸を撫で下ろす梨華ちゃんに、あたしは笑いを噛み殺して、キスしつづける。
今日の丸一日の切なさを、ひとつひとつのキスに変えて。
「ちょっと…ちょっとよっすぃー…なんか、飼い主を待ってたワンちゃんみたい」
と、梨華ちゃんは笑う。
「わんわんわん」
言いながら、うなじにも唇を這わせる。
おなじ匂い。枕とおなじ匂いだ。
昼間、満たされ切らなかった心が、ちょっとずつ埋め合わされていく。
「ねえ、わたしシャワー浴びたい……ねえ、ちょっと汗っぽいから…ねえ、ってば」
「いいよ、このままで」
困ったように笑うと、ようやく梨華ちゃんはあたしの背中に手を回した。
27 4日目 2002/05/05(日) 15:49
28 名無しこんこん 2002/05/07(火) 06:38
「お先に失礼しまーす!」

撮影が終わると、足早にスタジオを後にする石川。
話し掛けようとするメンバー達の話もろくに聞かず、慌ててタクシーに飛び乗る。

よっすぃー大丈夫かな…。
引越しの疲れがでちゃったのかなぁ…。

吉澤は風邪で熱を出して仕事を休んでいる。
石川は、ひとり部屋に残してきた吉澤のことが心配で仕方がない。

二人が暮らすマンションに到着すると、駆け足で中に入って行く石川。
鍵を開けるのももどかしい。
29 名無しこんこん 2002/05/07(火) 06:39
「よっすぃー…」
苦しげな表情で眠る吉澤。
石川は、ベッドの傍らで床に膝をつき、
少し汗ばんだその額にそっと手をやる。

まだ、熱いね…。

「…梨華ちゃん」
石川の掌、そのひんやりした感覚に目を覚ました吉澤。
「今、夢みてた…」
「どんな夢?」
「梨華ちゃんが…」
「あたしが、どうしたの?」

吉澤はそれっきり黙りこむ。
身体が弱っているせいか、その目が少し哀しそうに見える。
少なくとも、石川にはそう映った。
いつも陽気な吉澤だけに、気弱に見えるその姿が、いとおしくてたまらない。
30 名無しこんこん 2002/05/07(火) 06:40
「おかゆ、作るね…」
そう言って立ち上がる石川。
その袖口を、病人とは思えない力で引っ張る吉澤。

「いらない」
「無理にでも、食べなきゃだめだよ」
「食べたくないよ…」
だだっ子のように聞き分けのない吉澤の髪を、石川は優しく撫でる。

「じゃあ、アイスクリームは?それとも…」
「梨華ちゃん」
「ん?」
「梨華ちゃんがいい」
そう言って石川の身体を引き寄せる吉澤。

「もう、何言ってるのよ…」
頬を染めながら、それでも吉澤の手を払いのけると立ち上がる。
「アイス取ってくるから待っててね」
31 名無しこんこん 2002/05/07(火) 06:40
キッチンから戻って来た石川。
手にはバニラとストロベリーのカップ。
「どっちがいい?」
「…梨華ちゃんが食べた方」
「もう…」

ベッドの上、上体を起こす吉澤。
石川はその傍らに座り、ストロベリーアイスをスプーンで一口すくう。
そして、吉澤の口元に持っていく。

「ちゃんと、食べれるんじゃない」
「梨華ちゃんも食べてよ」

石川はもう一口すくうと、今度は自分の口に入れる。
交互に一口ずつ。
口の中で溶けるストロベリーアイス。
それと同じくらい甘いふたりだけの時間が過ぎてゆく。
32 名無しこんこん 2002/05/07(火) 06:41
石川の冷たくなった左手を、吉澤は両手で包み込むようにして暖める。
そして、十分に体温が伝わると、その細い肩を抱き締めた。

「だめだよ…」
「だって…」
「今日は、ホントにだめ」

切なそうに石川を見る吉澤の視線。
「じゃあ、キスだけ」
「いつからそんな甘えん坊になったの?」
「今日から」
「もう…わたしまで、風邪で寝込んじゃったら…」
言い終わらないうちに、その唇を吉澤が塞ぐ。

イチゴの味がする唇。
ふたり同じ香り。

「…みんなに変に思われちゃうよ」
「そのときは、言ったらいいじゃん」
「なんて?」
「キスしたら、うつりましたって…」

呆れたように、けれど、いとおしそうに吉澤を見つめる石川。

「それに、ふたりとも風邪引いたら、ずっと一緒にいられるよ。嬉しくない?」
「嬉しいけど…」
「そしたら、もう、うつる心配もしなくていいし…」
肩にまわした手に、ほんの少し力を込める吉澤。
「そんなことばっかり…」
「わかってるよ、今日はおとなしく寝る…」
33 名無しこんこん 2002/05/07(火) 06:42
夜もすっかり更けた頃。
ふたつならんだベッド。
僅かなスタンドの明かりが、石川の顔を照らしている。
その横顔を吉澤はじっと見つめていた。

かわいい…。
梨華ちゃんは、私だけのもの。
何があっても放さない…。

吉澤は、石川を起こさないよう、そっと隣のベッドに潜り込む。
そして、頬に唇を寄せる。

「眠れないの?」
不意に石川の声。
「梨華ちゃんも、まだ、起きてたんだ…」
「だって、心配なんだもん…」

「夢を見たんだ…」
呟くように吉澤。
「梨華ちゃんが、いなくなっちゃう夢…」
「…」
「哀しかった…」
「…」
「梨華ちゃんがいなくなったら、哀しくて、生きていけない」
「私だって…」

掛け布団の中。そっと石川の手を握る吉澤。
「ずっと一緒にいてくれる?」
「うん…」

ようやくふたりは穏やかな眠りについた。


34 #6 2002/05/08(水) 01:30
 空気みたい…

 吉澤は思った。

 吉澤はテレビの前のソファで横になり雑誌を読んでいた。石川はそのソファに寄り
かかりテレビを観ている。時々笑い声を上げていた。
 そんな石川を見る。仕事以外でもすぐ目の前にいる石川。甘い香りのする石川。

 吉澤の視線に気付いたのか、石川が振り返った。
「ん?」
「んー?」
 吉澤は微笑みながら似たようなイントネーションで答えた。
「どうしたの?よっすぃー退屈ぅー?」
「全然」
─梨華ちゃんが目の前にいれば…
「ねえねえよっすぃー、よっすぃーはどう思う?これ…面白いよね」
 石川がテレビ画面を指しながら言った。
「そうだね」
 吉澤はテレビではなく、そんな石川の様子を見ながら答えた。

 今日の仕事は夕方からだ。それまでの時間をこんな感じで2人ゆっくりと過ごしていた。
35 #6 2002/05/08(水) 01:33
 正直なところ、吉澤は本格的に2人で住むというのは不安だった。
 仕事が終わっても一緒にいられるとか、毎日…出来る…とか嬉しい事はいっぱいあるの
だが、常に一緒にいる事で石川に対して気を使ってしまって、結局くたびれてしまうのでは
ないかと心配だった。あるいは石川の方も吉澤に対して同様な気使いをし、お互い一緒に
いる事でくたびれてしまってはつまらない。

 だが。一緒に暮らすようになって今まで以上に実感した。
―空気みたい…
 と。
 他のメンバーといる時と、石川といる時の気持ちは明らかに違う。他のメンバーといる
時は常に、自分に対してどうして欲しいのか相手の気持ちを気にしているが、石川に対
してはそんな余計な気持ちは不要なのだ。自然体でいられる。自然に石川のために体が
動く。
 一緒にいる事が当然のように。いや当然と言う言葉すら必要ないくらいに。

―夫婦ってこんなカンジなのかなあ
 吉澤は思った。そんな事を色々考えていたら、眠気が襲って来た。雑誌の文字がぼや
けだす。テレビの音が遠くなってきた。
─昨夜も激し…遅かったもんなあ…
 うとうとし始める吉澤。それに気付いた石川が
「よっすぃー眠いの?」
 と言いながら、寝室から毛布を持って来て吉澤にかけた。
「出かける時間が近付いたらちゃんと起こすから、安心して寝てていいよ」
 石川が吉澤の髪をなでながら、顔を覗きこんだ。吉澤はうん、と声にならない返事を
した。吉澤は眠りに落ちる直前、石川のこんな声つぶやきを聞いた。

「空気みたいだね。お互いに自然体で一緒にいられるって、いいよね」
36 #6 2002/05/08(水) 01:34
 …ちなみにこの後石川もつい寝てしまい、2人でギリギリに集合場所へ到着して、リ
ーダーに小一時間コッテリ絞られたとか…。
( ゜皿゜)<オマエラ、タルンデル!


♯6 END
37 7日目 2002/05/09(木) 18:30

「ただいまぁ〜!! つかれたよぉ〜、マジで。」
「あ、おかえり・・・ひとみちゃん。」

ひとみは「ただいま」のあいさつもそこそこに、つかつかとソファーに
身をまかす。綿のように疲れたカラダからソファーが今日の疲れを
吸い取ってくれる感じが気持ちよくて
目を閉じるとうっかり眠ってしまいそうになってしまう。

(も〜、ウチの事務所ったら・・・人遣い荒いってば!!
もう・・・11時30分じゃん!! 信じらんない!!)

今日は1日中ひとみと梨華はは別々の仕事だった。
朝は梨華がひとみを送り出し、
夜はひとみが梨華に迎えられる・・・

(世のおとーさんたちってこんな気分なのかなあ?)

最近、梨華のほうが帰りの遅い日が続いており、
ひとみの方が遅く帰ってくるパターンはいつ以来になるだろうか?
38 7日目 2002/05/09(木) 18:31

「お疲れ様、ひとみちゃん。お茶いれたよ・・・飲んでね。」
「ん〜・・・ありがと。」

梨華がお盆から2人分のティーカップをテーブルに置く。
香ばしい香りをのせて湯気を立てるそれは・・・

(なんでコーヒーなの?? しかもブラックじゃん・・・)

梨華がコーヒーを飲んでるところなんて・・・ひとみにはあんまり記憶にない。
むしろお互い紅茶のほうを好むのは知っているはずだ。
なんとなくひとみが梨華の手元に視線を運ぶと
梨華のティーカップには・・・紅茶が入っていた。
39 7日目 2002/05/09(木) 18:32

「梨華ちゃん・・・何で私のだけコーヒーなの?」
「えっ・・・・・・だってひとみちゃん・・・疲れて今にも寝ちゃいそうだったから・・・
お風呂入らなきゃいけないし・・・こんなとこで寝たらまたカゼひいちゃうよ。」

そう言う梨華はひとみの視線から逃れるように俯いてモジモジしている。
視線はキョロキョロと部屋中を行ったり来たり。

(梨華ちゃんって・・・ウソ下手だよなあ・・・
なにか企んでるのなんて一発で分かっちゃうよ、
もしかして梨華ちゃん・・・・・・)

最近梨華の帰りを待つ状況が続いたせいか、ひとみには
相手を待っているときの気持ちが身にしみて分かっていた。
40 7日目 2002/05/09(木) 18:33

「梨華ちゃん・・・」
「何? ひとみちゃん?」
「梨華ちゃん・・・もしかして・・・飢えてる?」
「!・・・・・・」

ひとみが梨華の隣に移り、梨華の腰に腕を回しながら囁くと、
どうやら図星を着かれてしまった梨華は頬を真っ赤にしてしまう。

「そういえば・・・最近してなかったもんね〜、
私のコト待ってたらしたくなっちゃったんでしょ?」
「そっ・・・そんなこと・・・ないよぉ・・・」

意地っ張りな梨華は自分がえっちをしたがっているという事実を
ひとみに指摘されたのが恥ずかしくて
あわてて否定してしまう。
そんな梨華の様子を理解したひとみはどうしても
梨華にこの事実を認めさせたくてついいじわるな気分になる。
41 7日目 2002/05/09(木) 18:34

「そんなことないの? じゃあ、今日はもう寝る?」
「・・・ひとみちゃんの・・・いじわるぅ・・・」
「じゃあ・・・梨華ちゃんも・・・眠くならないようにコーヒー飲もっか?」

ひとみはおもむろにやや冷めてしまったコーヒーを
一息に飲み込むと、最後の一口を口に含んだまま、梨華の唇に触れた。
舌で梨華の唇をこじ開けて、コーヒーを梨華の口内に流し込む。
梨華のノドがコクリと音を立てて褐色の液体を飲み込んだことを告げる。

「んんっ・・・苦いよぉ・・・」
「梨華ちゃん、目が覚めた? コーヒーご馳走様。
今日は・・・寝かさないよ・・・覚悟してね・・・」
「あんっ・・・いっぱい・・・ちょうだい・・・」

そういうと梨華はゆっくりと瞳を閉じた。
42 7日目 2002/05/09(木) 18:35

この後明日朝早いのも忘れ、深夜まで何度も求め合ったのは・・・(ry
だってコーヒーが効きすぎて眠れなかったんだもん!!
次の日性懲りもなく寝坊してしまったのは・・・言うまでもない。





・・・・・・梨華ちゃん、コーヒーの分量知らなかったんだって(泣
43 7日目 2002/05/09(木) 18:35

7日目 おしまいです。
44 8日目 2002/05/12(日) 16:21

 ピピピピと目覚し時計の音が寝室に鳴り響く。
 昨夜も遅くに床についた梨華は、まだまだ覚醒しない脳を無理矢理回転させて体を起こす。
 時計を見ると針は7時を指していた。けたたましく鳴る目覚しを止める。
 ひとみが朝早くから仕事があるのを思い出した梨華は、スヤスヤと眠りこけているひとみの肩をそっと揺らした。

「……ひとみちゃん、朝だよ。…起きて」
 けれど、ひとみは全く起きない。
 もう一度、今度は少し強めに肩を揺らしてひとみを起こす。

「ひとみちゃん、時間だってば!」
 それでもひとみは目を覚まそうとしない。
45 8日目 2002/05/12(日) 16:21
 一緒に暮らし始めて一週間。ひとみはずっとこんな調子だ。
 ひとみが梨華の部屋に泊まりにきていたときは、ちゃんと一人で目を覚まし、仕事に出掛けていた。そんな彼女がこんなに寝ぼすけだとは知らなかった梨華は、毎朝のこのやり取りにほとほと疲れていた。

 ……結婚する前とした後じゃ態度が変わるって言うけど……ホントだね。
 梨華はほんの少し見当違いなことを思いながら、幸せそうに寝息を立てているひとみを憎らしげに見る。

「……もうっ…私はあと2時間はゆっくり寝れるのにっ」
 まるで手間の掛かる子供と暮らしているようだと梨華は思う。
 …夜は子供じゃないのに…って、何考えてるんだろ、私。
 思わず昨夜の事を思い出してしまい、梨華は一人赤面してしまう。
 誰も見ていないのに思わず辺りを見回して、赤くなった顔を押えた。
46 8日目 2002/05/12(日) 16:22
 暫くの間、幸せそうに眠りこけているひとみの寝顔を見て、ふと思った。

「おとぎ話のお姫様なら…キスすれば目を覚ますけど…ひとみちゃんはどっちかって言えば王子様だよね」
 王子様、目を覚まして……
 そんなことを思いながら、梨華は自分の唇をひとみのそれにそっと重ねた。
 そっと触れるだけの羽根のように軽いキス。

「………ん、り…かちゃん?」
 それまで全く目を覚まそうとしなかった寝ぼすけな王子様は、現金にも梨華のキスで漸く目が覚めた。

「……梨華ちゃん、朝から大胆だなぁ」
 寝ぼけ眼のひとみは、梨華をしっかり抱きしめて口付けた。


「んっ、もう違うって〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ」
47 8日目 2002/05/12(日) 16:24


 ―――それから数十分後。
 慌てて身支度を整えているひとみに、梨華がほんの少し疲れた顔で呆れたように言う。

「…ねぇ、なんでこんなに寝坊するの? 毎朝起こす私の身にもなって」
「ん〜なんか梨華ちゃんの隣だと安心してぐっすり眠れちゃうんだよねぇ。あっ、梨華ちゃんが起こしてくれるから、とかじゃないよ。梨華ちゃんの隣にいると、落ち着いて眠れるっていうかさ」
 ひとみはカバンに荷物を詰め込みながら、梨華にニコリと微笑んでそう言う。
 それまではどこか呑気なひとみに腹を立てていたはずなのに、「安心」と言う言葉が何だかとても嬉しくて、気持ちがホワンとしてしまう。
48 8日目 2002/05/12(日) 16:25

 そんな些細な一言で幸せを感じてしまう自分は、何てお手軽なんだろう。
 けれど、自分を喜ばせるのも、怒らせるのも、悲しませるのも、楽しませるのも。
 自分の感情をいとも容易く動かせるのはたった一人、ひとみだけ。
 毎日が些細な感情のぶつかり合いで、それがたまに孤独を懐かしく思うときもあるけれど。こんな満ち足りた時はけして一人じゃ経験出来えなかったもの。
 寝坊癖も、甘えん坊なところも、夜はちょっとエッチなところも、一緒に暮らし始めて気付いた事。そんな彼女がやっぱり愛しく思えてしまうから。
 だからこれで良いと梨華は思う。
49 8日目 2002/05/12(日) 16:26

 穏やかな二人の空間のドキドキ感。
 それは普遍的なものではなくて一過性のものかもしれない。けれど、今はそれを楽しんでいようと梨華は思う。

 だって、二人の生活はまだ始まったばかりだから。
50 8日目 2002/05/12(日) 16:27

  8日目  了
51 9日目 2002/05/19(日) 23:35
「梨華ちゃん」
名前を呼ぶと、
「なあに?」
すぐに返事が返ってくる。

「…なんでもない」
吉澤はちらりと左隣に座る石川を見ると、すぐにテレビに視線を戻した。
「なによう」
そう言う石川も、特に気にしている様子はない。
体の力を抜くと、ソファに身を沈めた。

画面には、今日放送されたばかりのハロモニのビデオが映し出されている。
山手線ゲームの要領で、膨らんでいく風船を交互に手渡していくゲーム。

割れた風船から飛び出してきた羽根を本気で嫌がるブラウン管の中の石川を見て、
吉澤は息だけで笑った。
その様子に気付き、隣の石川は無言のまま肘で小突いてくる。

その反応も息だけで返して、
吉澤は紅茶のカップを持ち上げ、一口飲んだ。
52 9日目 2002/05/19(日) 23:40
保田と吉澤の対戦。
お題は『相手よりも自分が優れているところ』。

結果は知っているのに、じっと画面に見入る石川。
『家庭的』が却下されたのは結構納得いかないなあ、などと吉澤がぼんやり思っていると、
不意に右頬に暖かい感触を感じて驚いてしまう。
いつの間にか目の前に石川の顔があった。

「もう、痛くない?」
「大丈夫だよー。収録の日から何日経ってると思ってんの」
「でも、やっぱりすごく痛そうだったから…」

結局、吉澤のところで風船が爆発し、この勝負は保田の勝利となった。
しかも、割れた風船のゴムが吉澤の右頬を直撃し、吉澤は「圭ちゃんを傷つけるからよ」という中澤からのありがたいお言葉をいただくこととなった。

実際、もう痛みは全く無かったのだが、頬に触れる手の感触が気持ち良くて、吉澤は石川のされるがままになっていた。

目を閉じると、より確かなものとして伝わってくる。
頬を優しく撫でる手。左肩に置かれた、もう片方の手。

伝わってくる。
梨華ちゃんの体温。
53 9日目 2002/05/19(日) 23:41

ありがとう、と言って手を下ろさせると、石川はソファに座りなおして吉澤に体重を預けてきた。
「…やっぱさ、梨華ちゃんてお姉さんて感じだよね」
「えっ?」
唐突な言葉に目を丸くする石川に、
「ほら、この後」
吉澤は画面を指差した。

つけっぱなしだったビデオには、先ほどのゲームの続きが映し出されていた。
「みんなさ、結構辻のこと色々言っちゃったじゃん。うちもだけど」
「…ああ」

全員参加の最終対決、『メンバーのココを直して欲しい!』というお題に、飯田を初め後藤、吉澤などが辻の欠点を挙げたのだ。
悪気はなかった。全員、そのはずだ。
テレビ的にそこそこ笑えて、後々周りから「不仲」などとつつかれないような短所となると、年少メンバーの可愛らしい欠点を指摘するのは仕方ないと言える。

そのせいかどうかは分からない。
しかし辻は、自分の番にうまく答えることが出来なかった。
少し、ぎこちなくなる雰囲気。
そこにかかる、石川の声。
「なんでもいいよ、クサイでもいいから」
それにヒントを得た辻は、石川をネタに答えを導き出した。
「梨華ちゃんのヤキソバ食べれない」
54 9日目 2002/05/19(日) 23:43

「フォローしたの、梨華ちゃんだけだったっしょ。そういうとこ、やっぱりお姉さんだなあと思うよ」
自分には出来ない。そう思う。
すると石川は、違うよ、と言って体を起こした。
「だって、最後に辻ちゃんのこと言ったのは、あたしだよ」

用意しておいた答えを却下された石川は、咄嗟に「辻ちゃん爪噛むのやめて」と言って
その場をしのいだのだった。

「辻ちゃん、色々言われて気分良いはずなかったのに、なんか追い打ちかけるみたいなこと言っちゃって。
言ってからしまったなあって」
だからかなあ、と石川は渋い表情で番組の終わってしまったビデオを巻き戻しはじめた。

なんだかイヤな気分にさせてしまったようで、吉澤は少し後悔したし、
今だにこんなことでネガティブ気味になってしまう石川にちょとだけ苛立ちを覚えた。
自分としてはただ、梨華ちゃんカッケーって、それだけ言いたかったのに。

「でもやっぱり梨華ちゃんはうちと違って、みんなのこと考えてるじゃん」
「えー。そうかな?」
「新メンといる時だって、うちはただ一緒にはしゃいでるだけだけど梨華ちゃんは、梨華ちゃんはなんかこう、いかにもお姉さんていうか、…辻だってあんなんでへこまないと思うし。ていうか、へこんでなかったし」

たどたどしい吉澤の言葉に、それでも石川は言わんとすることは理解して、
「それってつまり、あたしカッケーってこと?」
と、ふわりと笑った。
55 9日目 2002/05/19(日) 23:45

「そうそう、カッケーカッケー」
なんだ、伝わってるじゃん。

さっき感じた苛立ちがウソのように消えて、
代わりに広がるのは温かい感情。

「じゃあ、カッケー石川が紅茶をもう一杯淹れてあげましょう」
そう言って立ち上がった石川の手を、しかし吉澤は引きとめ、抱きしめて、
「えへへへー」
石川のお腹の辺りに顔をうずめた。

「なによー。紅茶、飲みたくないの?」
そんなことを言う石川の声は、ちっとも嫌そうじゃない。
きゅう、と抱きしめて、髪を梳いてくれる。
「今日は梨華ちゃんがお姉さんだから、いーの」
「答えになってないよー」
くすくす笑う振動が伝わってきて、すごく心地良い。

梨華ちゃんの体温。
今まで何度も感じてきたけど、何度感じてもドキドキする。
それなのに、安心する。
不思議な温度。
56 9日目 2002/05/19(日) 23:46

「あ、そうだ。ねえねえ」
「うん?」
「あいぼんに『小指立てるな』って言われた時も立ってたよ、小指」
「うそっ」

石川の体温が少し上がった気がして、吉澤は満足げにため息を漏らした。
57 9日目 2002/05/19(日) 23:47

9日目  了
58 10日目 石川ver. 2002/05/22(水) 02:00
はぁ……。
梨華は仕事から部屋に帰ると、テレビをつけてため息をついた。
一緒にテレビ局から戻ったひとみは帰ってすぐお風呂に入っている。
今日のひとみは機嫌が悪い。
メンバーにも梨華にもいつものように振舞っていたけどなんか違う。

テレビではニュース番組が、サッカー日本代表や、どこかの国にある
日本領事館問題について報じている。
今日の「多事争論」は’じゃないのお見合い問題’について取り上げているらしい。
じゃないって誰だろう。最近の話題についていってないなあ私、
なんて考えているとひとみがお風呂から上がってきた。
ひとみはいつも通り
「出たよ〜、次入れば?」
と梨華に声をかけてドレッサーがある寝室に入っていった。
本当にいつもと変わらないのに、なぜだか機嫌が悪いのがわかる。

考えてみると、ひとみの機嫌が悪いと思ったのは初めてだ。
もちろん怒ったり拗ねたりはするけれど、それはその場限りの事で
こんな風に長い間感じたのは出会ってから今まで一回もない。
だから梨華はすごく不安に感じた。よっぽどの事があったに違いない。
あれこれ思い浮かべたが、今日のコントぐらいしか思いつかない。
でもあれだっていつもひとみはさらっと流しているし……。
それ以上思いつかないので暗い思いを引きずりながらも
とりあえずお風呂に入る事にした。
梨華はひとみのお風呂あがりの香りが好きだ。一緒に暮らすようになって
ボディソープから全て共用にして同じ匂いにしている。
香りをお揃いにするのは同じ物を一緒にするのとはまた違った
秘めやかな喜びがあって楽しい。
お湯を身体にかけながら、梨華は出会ってからのひとみのあれこれを
思い出していた。クールでどこか掴めなくてあまりマイナスの感情を人に
見せないひとみ。
あれ?でも今日は明らかに機嫌が良くなくて……。
「そうだ、そうなんだ」
梨華は思わず言葉を口に出してしまう。
今日のひとみはすごく機嫌が悪いんじゃなくて、梨華が
一緒に暮らすようなってひとみの感情の変化を掴めるようになったのだ。
そう、そうなんだ。
梨華は嬉しくなる。だってこれってひとみの正直な気持ちに
1歩近づいたって事だから。
59 10日目 石川ver. 2002/05/22(水) 02:01

お風呂に入った時よりも晴々とした気持ちで居間に戻ると
電気が消えていて、寝室のドアから光がもれているのが見えた。
どうしたんだろう。
梨華はそっとドアを開けて入る。
「よっっすぃ?」
声をかけるとひとみが顔をあげた。目が合うとひとみはなぜか
驚いてそして切なそうな表情になった。そしてやっぱりひとみは
ご機嫌斜めでそんな自分を苛立たしく思ってる事がわかってしまった。
目と目で通じ合う、そんな瞬間が確かにあって。
無言でひとみが手を差し出して来たのを、梨華はきちんとつかんだ。
抱き寄せられられてキスをされる。
いつものひとみとは違うキス。ひとみに抱きしめられているのに
全然感じ方が違うのは、梨華が新たなひとみを知ってしまったから。
「今日よっすぃ、いつもと違うよ。でも私よっすぃが好き」
梨華がそう囁くと、ひとみは優しく微笑みながら梨華の身体に触れてくる。
まるではじめて抱かれるみたいな羞恥心が体を駆け巡っていくのを
感じながら、梨華はひとみの肩にキツクしがみついた。
60 10日目 石川ver. 2002/05/22(水) 02:02

――――――
目を開けると、梨華の胸の谷間に小さな子供のように顔を埋めてひとみが
寝ていた。その可愛らしい寝顔に思わず笑ってしまう。
起きないようにそっと髪を撫でてみる。
透き通るような白い肌や長い睫毛は本当に美しくて
梨華はひとみへの愛情で胸がいっぱいになる。
そして、昨日の夜の事を思い出した。ひとみが普段見せない顔が見れたのは
やはり一緒に暮らし始めた事が大きいだろう。
ああ、二人暮らし始めて本当によかったな。
そう思っていると、ふと起きたひとみと目があった。
優しく笑うと微笑み返してくる。そしてひとみはハッとした表情で半分身体を
起こした。が、すぐ何かに気づいたような顔で、梨華の胸へと顔を寄せた。
「どうしたの?よっすぃ」
「ん〜〜」
唸り声でひとみは返事をして、梨華の胸に口づけて悪戯な手は
いつの間にか腰を撫でている。
「もう、寝起きよすぎだよ、よっすぃは」
梨華は文句をいいながらも、また思った。
二人で暮らすのっていいな。私は幸せだよ、よっすぃ。
61 名無しチャーミー 2002/05/22(水) 02:02


          10日目 石川ver.終了
62 10日目 吉澤ver. 2002/05/22(水) 02:04

今日の私は不機嫌だ。面白くない。
理由ははっきりしていて
(わけもなく機嫌が悪くなるほど私は子供じゃない)
ハローモーニングのコントのせいに決まっている。
私の恋人であり同棲相手でもある人が、仕事とはいえ
自分以外の相手に恋を告白するなんて、嬉しいはずがない!
それに私も出なきゃいけないから当然カメラの後ろでみていなきゃ
ならないわけで。ついてないというか、なんというか。
そんなわけでご機嫌斜めである。
でも他人にそんな素振りを見せたりはしない。
自分の感情や価値観を押し付けたりするのは格好悪い事だと
おもうから。
(だから時に「よっすぃはクールだ」と言われるんじゃないかな)

それは相手が梨華ちゃんでも同じ。
むしろ梨華ちゃんだからこそとも思う。
好きな人には格好悪いところなんて見せたくないから。

でもこの込み上げてくる不愉快さはいつになっても消えなくて。
家に戻りお風呂に入って、身体と頭をがしがし洗っても消えないこの感覚。
あーどうしたらいいんだ!
洗面所の鏡に写った自分の顔を睨みつけて、私は居間へと入っていった。
いつも通りに梨華ちゃんに声をかけて、寝室に向かう。
63 10日目 吉澤ver. 2002/05/22(水) 02:05

ドレッサーの椅子にボスッと腰をかけて、化粧水や乳液をつけていると
なんだか悲しくなってきた。
梨華ちゃんが悪いわけじゃもちろんなくて。
でも私はこんなに嫌な気分になってしまっている。
そんなコントロールできない自分の感情が歯がゆい。
急に梨華ちゃんを抱きしめたくなる。
大丈夫だって、好きなのはよっすぃだけって、言って欲しい。
わかっていても言葉で確認したい時ってある。

私は立ち上がって居間へ行く。
梨華ちゃんはもうお風呂に入っていたから電気を消して
寝室へと戻った。そのままベッドの上に座り壁にもたれて
梨華ちゃんの事ずっと考えていた。
どのくらい経ったか、梨華ちゃんが寝室にはいってきた。
そっと私の名前を呼ぶその顔を見たらなんだか
わからないけど、気付いてしまった。
梨華ちゃんは私の機嫌が悪いの分っているって。
私が隠しているつもりでも梨華ちゃんはちゃんと分っていて。
それは私の心を軽くさせた。
口に出さなくても私が感じていることを察している。
そう、梨華ちゃんの前では平気な振りなんてしなくていいんだ、私は。
64 10日目 吉澤ver. 2002/05/22(水) 02:05

私が黙って手を差し伸べると、梨華ちゃんはちょっと不安そうだったけど
しっかりと握ってくれた。自分へと引き寄せるとキスをする。
感謝のキス。
私の事わかってくれてありがとう、好きになってくれて
ありがとうって、優しく優しく優しくキスをした。
「よっすぃどうしたの?ねえ?好きだよ、よっすぃ」
私が頼まなくても、欲しかった言葉を言ってくれる梨華ちゃんは
とても愛しい。私は欲望とはまた違った気持ちで梨華ちゃんの
服を脱がし愛撫していった。
「今日のよっすぃ、いつもと違う」
梨華ちゃんは私にしがみつきながら、あの甘い声で切なそうに訴えてくる。
潤んだ瞳や身体のふるえ、吐息やいつも以上に濡れている事から
嫌がってはいないのが分っていたから、私は優しく梨華ちゃんを見つめ、
彼女が悦び満足して果てるまで愛した。
65 10日目 吉澤ver. 2002/05/22(水) 02:06

――――――
ふと目覚めると柔らかに微笑む梨華ちゃんが見えた。
今何時だろう、1回家に戻って着替えて来なきゃ、なんて一瞬混乱する。
そしてすぐ、ああそうだ、ここは私の家、私達の家なんだと安心した。
帰らなくていい、ここが私の戻る場所なんだから。
二人で暮らすのっていいよね、やっぱ。
朝にえっちする時間もあるしね。
梨華の胸元にキスしながらそう私は思った。
66 名無しチャーミー 2002/05/22(水) 02:07


         10日目 吉澤ver.終了
67 11日目 2002/05/24(金) 02:59




ひとみの指がくの字に曲げられ、梨華の中の、一番弱い部分を何度も刺激する。
それまでのひとみの愛撫により、そこはすっかり溶かされていた。
途端に梨華は今までよりもひときわ高い声をあげて背中をひきつらせる。
「やぁ…っ!や、そこ、やあぁっ…!」
自分で腰を動かしてるくせに、口ではそんなことをいう梨華が可愛くて、ひとみはつい、意地悪をしてみたくなってしまう。
「ヤだ?じゃあ、やめようか…?」
「や、やだぁ…!」

動きを止めてしまったひとみを、梨華は恨めしげに見上げた。
潤んだ瞳からひとすじ、涙が滑り落ちる。
「『やだ』ばっかりじゃわかんないよ、梨華ちゃん」
こういう顔もかわいいんだよなあ、と思いながら、耳元でささやく。
「気持ちいい時は、ちゃんと気持ちいいって言って?」

何かに耐えるようなまなざしで、梨華はとぎれとぎれに言う。
「…そんな、こと、言え……っあ…」
みなまで言わせず、ひとみは指の動きを再開する。
梨華は眉根を寄せ、シーツを握り締めながら吐息を噛み殺している。
ひとみに言われたことで、余計声を出すことに抵抗を覚えてしまったようだ。
68 11日目 2002/05/24(金) 03:00

「梨華ちゃん…言ってよ…言ったらきっと、もっと気持ちいいよ…」
「…って……ずかし…よ」

快楽よりも羞恥が勝るのか、梨華はそれだけ言うと目をそらしてしまった。
幾度となく体を重ねてはきたものの、梨華は今だに自分から積極的に求めたりするのは不得手のままだった。
しかし、ひとみは諦めなかった。きっと、梨華ちゃんは言ってくれる。

根拠のない自信ではない。
今までも、いろいろ「恥ずかしい」と拒まれたことはあった。
でも結局、梨華はひとみが求めたことは全部してくれたから。
羞恥心の臨界点を越えてしまえば、梨華はかなり大胆なことでもやってくれるのだ。

それに、ひとみは知っている。
梨華ちゃんの「恥ずかしい」は、「気持ちいい」の同意語。
梨華ちゃんの「やだ」は、「もっと」の裏返し。

(なんか、芸人が「やめてくださいよー」っていうのと似てるな)
ひとみは何故かそんな場違いなことを頭の片隅で思いながら、梨華の芯に親指を這わせた。
体の中と、外から、揉み解すように刺激する。
とろとろのそこを強めに擦ってやると、梨華は耐えきれずに悲鳴をあげた。
69 11日目 2002/05/24(金) 03:01

「…もち、…い…」
梨華の細いノドが上下し、ひとみの鼓膜を震わせた。
「梨華ちゃ…」
「や…、っあ、きもち、い…っ、…気持ちいいよう、ひとみちゃ…いいよう…っ」

一度口にしてしまうと、なにか吹っ切れたように梨華は何度も何度もその言葉を繰り返した。
そんな梨華の姿に、ひとみは目の奥が焼けつくような興奮を覚える。

自分の言葉に追いたてられるように、大胆になっていく腰の動き。
羞恥と快楽に歪められた、それなのに酷く美しい顔。
まるで本当に泣いているような、ノドの奥から搾り出される声。
甘ったるい汗の匂い。
指で感じる熱と圧力。
「ふあ、あ、いいよう!きもちい、ぅく、きもちいい、っ、ひと、ちゃ…ひっ、い、」
繰り返される、愉悦の言葉。

ひとみはそれだけで、背筋にぞくぞくしたものを感じてしまう。
足のつま先から髪の毛一本一本にまで通ってるんじゃないかと錯覚するような痺れ。
余裕なんてもうどこにもなかった。
ちょっと意地悪をするつもりが、逆に追い詰められている。
それが無意識の行動なのだから、梨華のほうがよっぽどタチが悪い。
70 11日目 2002/05/24(金) 03:02

「……んぅ…っ!」
その声を聞いていると、なんだか自分のほうが先に果ててしまいそうな気すらして、
ひとみが思わず唇で塞ぐと、梨華のほうから深く舌を絡めてくる。
梨華の発する吐息と声が、空気に触れることのないまま、ダイレクトにひとみに届けられる。

クラクラする頭の中で、ひとみは背中にまわされる腕の力を感じた。
小刻みな声をあげ、ぎゅっとしがみついてくるのは、終わりが近い合図。
そんな梨華が、ひとみはいつも愛しくてしょうがないのだけれど。
今日だけは、このままというわけにはいかなかった。
ひとみは、最後の理性を総動員する。

「…やぁっ、も、あたし、もぅ、…っ、…………えっ?!」
片手で梨華の体を引き離し、ベッドに押さえつける。
「顔、見たい」
戸惑うひますら与えずに、ひとみは指の動きを更に激しいものに変えた。

「…………ひぁぁっ、ぁ…やぁぁぁっ…!!」
背中をひくひくとしならせ、梨華は大きな波に呑み込まれる。
その表情を見られるのが恥ずかしいというのもあって、いつも梨華はひとみにしがみつくのだけれど、
今日は全て見られているという事実が、波を更に大きなものとした。
梨華の顔はとてもいやらしくて、恥ずかしそうで、満足そうで、可愛かった。
そして、他で見せるどんな顔よりも幸せそうだった。
71 11日目 2002/05/24(金) 03:03

波が引いた後、とろんとした顔で荒い息をつく梨華を、ひとみはとても満足げな様子で横から抱きしめた。
顔に貼りついた髪の毛を、そっとかきあげてやる。
すると、ようやく息のおさまった梨華がおずおずと言った。
「……ひとみちゃん」
うん?と目線で尋ねると、あ、あのね、と口ごもったあとで、
「ひとみちゃん、だけ、なんだからねっ」
早口でそう言うと、梨華はぷいっと背を向けてしまった。
72 11日目 2002/05/24(金) 03:04

(やっぱ、バレバレかぁ)
ひとみは内心、苦笑する。
雑誌に載った梨華はやっぱりすごく可愛くて、案の定自分は嫉妬して、でもそれを悟られたくなくて、なにも言わなかったのだけれど。
あの時の表情を見たいなんて言ったら、バレるのは当然かもしれないな、とひとみは思った。

世界でひとりだけ、ひとみだけが見ることのできる梨華。
他の誰も見ることのできない梨華。

それでもやっぱり、気持ちを見ぬかれてるっていうのは悔しいなあ。
一見逆に見られがちだが、普段の生活の中ではなんだかんだ言って梨華がイニシアチブを取ることが多い。
こういう時くらい、主導権は自分が握っていたいひとみは、知らんぷりを決めこむことにした。

梨華ちゃーん、なにがぁ〜?と笑いを含ませた声を耳に吹きこむと、梨華はなんでもないよっ、と怒ったように言ってシーツをかぶってしまった。

「こっちむいてよー」
「やだよ」
「顔見せてよ、石川さーん」
「いやですぅ」
73 11日目 2002/05/24(金) 03:05

しばらくシーツの中で鬼ごっこをした後、ようやくひとみは梨華を捕まえた。
無防備なその顔は、やっぱり雑誌に載ったどんな写真とも違っていて、
私がこういう顔させてるんだなあ、と思うと、ひとみはたまらなく嬉しくなってくる。

当たり前だけど、どんな写真も映像も、本物には到底叶わない。
それを独占できる幸せを改めて感じながら、ひとみは梨華の香りを胸一杯吸い込んだ。
74 11日目 2002/05/24(金) 03:06

 11日目 END
75 12日目 2002/06/04(火) 19:48
朝からひどい雨。
予定してたロケも後日延期となり、ぽっかりと時間が空いた。
あたしとよっすぃーはとりあえず家に帰り、静かに少し早い昼食を取った。


『1日休みってのは嬉しいねえ』
よっすぃーは嬉しそうに、卵サンドを齧った。
今日は確かにお休みだけど。
今後のスケジュールが押す事を考えると、素直には喜べない。
『そうね…でも雨だし、する事ないねぇ』
『家にいようよ』

よっすぃーの提案で、1日室内で過ごす事になった。
76 12日目 2002/06/04(火) 19:51

熱い紅茶を入れる。
引っ越してから買ったおそろいのマグカップに。
ミルクと蜂蜜入りは私の。ストレートはあなたの。

リビングの床に座り、ふたりで外を見る。
窓硝子を伝って流れてゆく雨。
窓に手のひらを押しつけると、ひんやりとした感触がかえってくる。
よっすぃーは指で何か落書きをしてる。
雨の音に混じって、車のタイヤが水を弾いて走ってゆく音も聞こえる。

そうしてると、私とこのひと以外、いないような錯覚さえ起こる。
77 12日目 2002/06/04(火) 19:53

しばらくふたりとも黙って。
クッションを抱えて飽かずに外の世界を眺めていた。


よっすぃーが私を抱き寄せて言った。
『…子供の頃さ』
『うん』
『雨で遊びに行けない時、こうやってずーっと窓にへばりついて雨、見てた』
『ふふ、あたしもよくやったよ』

あの頃。
お友達と約束したのに、外に遊びに行けないのがもどかしくて。
神様に祈ったわ。
明日はお天気にしてくださいって。
78 12日目 2002/06/04(火) 19:55

神様がいるのかなんて分からないけど。
神様より大事なひとは確かにいる。

私は雨から隣のひとに視線を移した。
ほっぺたがあんまり可愛くて、ひとさしゆびでぷにっとつきさした。
もう〜、と文句を言ってつきかえしてくる。


『梨華ちゃん』
『ん?』
『てるてるぼうず作ろっか』

ごめんね、よっすぃー。
明日も雨にしてくださいって。

今、神様にお願いしちゃった。
79 12日目 2002/06/04(火) 19:56

END
80 名無しテレビ 2002/08/16(金) 12:27
↓記念パピコ様 ご案内〜♪
81 ( `.∀´)<ポコペン ( `.∀´)<ポコペン
( `.∀´)<ポコペン
82 名無しヒッパレ 2002/08/18(日) 00:16
いったい何を書いたんだろう・・・(;`.∀´)
83 じゃない 2002/08/18(日) 00:39
小説スレは汚したらダメ(^へ^)
84 13日目 2002/09/06(金) 02:54

「ね、ね、梨華ちゃん、見てー?」
左斜め後ろの方から聞こえる、ちょっとハスキーな声。

「ん?」
振り返ると、いつもより少し高い位置から、得意気に笑う彼女。

公園の周りをぐるりと囲んだ、背の低い柵の上。
その鉄の棒の上を、運動神経の良い彼女はぐらつくこともなく
平均台の要領で腕を左右に広げ、器用にバランスを取りながら渡っている。
左手には今寄ってきたばかりのコンビニの袋。
余裕を見せつつも、いつもよりも少しだけ緊張感を帯びた眼差し。
歩く速さは、下を歩く私とほとんど変わらない。

「ひとみちゃん、すごーいね」
何か言ってほしくてたまらない様子の彼女に声をかける。
欲している言葉は、顔を見ただけでちゃんとお見通し。
何気に褒められたがりの彼女が、へへっと笑うその顔はとっても満足そうで。
ふふっ、もうかーわいいなぁ。
85 13日目 2002/09/06(金) 02:56

こんなにもほっこりした気分。
あぁ、幸せってこういうものかも…
って、私まるで我が子を見守るお母さんみたいじゃない!

なーんて、すっかり一人の世界を漂っていたその時。

「ジーーーーャンプッ!!」

「ひゃあっ!」

突然上から降ってきた、大きなコドモ。
私はその強烈な勢いにバランスを崩して、思いっきり尻もちをついた。
アスファルトに触れた箇所から、まだ残っている昼間の熱さが妙にリアルに伝わってくる。
手のひらがじんじんと、熱い。

「いったーーい…もう、びっくりしたじゃないっ」
「ご、ごめんね。あっ、血出てる」
86 13日目 2002/09/06(金) 02:58

倒れながら後ろについた手のひらには
道端の細かい砂に混じって、じんわりと血が滲んできていた。
少し痺れていて、まだあまり痛くはないけれど。

すっかりしょげかえっている彼女をよそに
さっきの衝撃で道路に散らばってしまった袋の中身を拾い集める。
二人が大好きなバナナ味のヨーグルト、
保田さんの影響で(?)何となく買ってみたインスタントカメラ、
珍しく彼女が欲しがったコンビニコスメの小さなマニキュア…

目の端ギリギリに映る彼女は、まだ俯いたまま。

反省してるみたいだけど、どうしよっかなー、
たまには意地悪しちゃおうかな。
―――ちょっとだけイジメテミタイナ
87 13日目 2002/09/06(金) 03:00

私はこぼれ落ちた物をすべて拾い終えると立ち上がり、
何事もなかったかのように歩き出した。

「あっ…ちょっ、梨華ちゃん、待ってよ!」
慌てて駆け寄ってくる足音。
でも私は振り向かない、止まらない。

「ね、梨華ちゃん、ごめんってー」

「梨〜華ちゃん♪」

悪いと思っている時ほど、ちょっとだけおどけてみせる彼女。
私はその声を耳に入れないように意識して、ひたすら前を見つめて歩く。

「梨華ちゃんっ!」

「梨華ちゃぁん…」

縋るように私の名前を呼んでいた声は次第に細くなって…
ついにじっと押し黙ってしまった。
88 13日目 2002/09/06(金) 03:01

昼間とはうってかわって人通りのない夜の住宅街。
世の中で今動いているのは私たちしかいないのかも、と
錯覚しそうになるほど静かで、聞こえるのは二人分の足音と
手にしたビニール袋が揺れる、カサカサした音だけ。
何故かいつもより遠くに感じられる月を見上げながら
はあっと息を吸い込むと、少しだけ、もう秋の気配。

ふっと後ろの彼女に意識を戻す。
下を向いてとぼとぼとついてくるであろうその姿は、振り返らなくたってわかってる。
どうしてこんなことになっちゃってるのかは、当の私自身にさえわからない。
ちょっと可哀想なことしちゃったかな?
けど…どうしてだろう、なぜか今夜は止められなくて。
89 13日目 2002/09/06(金) 03:02

リビングのソファーの沈み具合を心地よく感じながら、手のひらの傷を消毒する。
「っ…!」
コットンからひんやり浸みこんでくる刺激に、思わず息をつめた。
さっきまではそうでもなかったけれど、やっぱりまだヒリヒリする。

あーあ、しばらくはお風呂入るときしみるかな〜
なんて思いながら、そっと彼女に目を移す。
背中を丸めて椅子に座った後ろ姿は、いつもの溌剌とした彼女とは別人みたいに
何だかとっても頼りなさげで……胸の奥がチクッと痛んだ。

ああ、この感じ…
ちょっと甘やかなこの痛み。
嫌いじゃない。ううん、むしろ好きかもしれない。

今日の私、ちょっとヘンだね。
ごめんね。
90 13日目 2002/09/06(金) 03:03

「ね、ひとみちゃん、さっきのヨーグルト食べようよ」

急に罪悪感が大きくなってきて、思いきって声をかけた。
返事は、ない。

コンビニの袋を持って立ち上がる。
「ひとみちゃん、ほら、食べよ?」

背中から包みこむように抱きしめてみる。
いつも彼女が私にしてくれるように。
あったかい……二人の体温が合わさって、少しだけ温度が上がる。
しばらくそうしていても、彼女はまだ俯いたまま。
あぁ、拗ねちゃったかな……と激しく後悔しつつ、前に回って顔を覗き込むと
その大きな瞳には今にもこぼれ落ちそうな涙。

「わっ、ひ、ひとみちゃん?」
その途端に、涙が一筋ツーッと流れた。
91 13日目 2002/09/06(金) 03:04

「ごめん、ごめんね。あのね、もう怒ってないから」

「ホントに、全然怒ってないよ。ごめんねー」

焦って、ごめんねを連発する私。
泣きそうなのを堪えて、ぐっと口をへの字に結んでいる彼女。
慌てながらも、そんなところがすごくかわいい、
なんて思ってしまう私は、やっぱりちょっとヘンなのかな。

彼女の顔にかかった前髪をかき上げ、涙の筋を舌先でなぞる。
人の涙を味わうなんて、初めて。
自分のと同じでやっぱりしょっぱいなあ、なんて思いながら
根気よく舐め続けていたら、くくっと、やっと笑ってくれた。

「もう、やめてよー。くすぐったいってば」

「ふふっ、くすぐったかった?じゃあ、やめなーい」
92 13日目 2002/09/06(金) 03:06

結局くすぐったがる彼女の顔中を、さんざん舐めたうえに、
たくさんキスまでしてしまった。

あー、ヨーグルトぬるくなっちゃうかな…
冷蔵庫に入れてからにすればよかったかな…と
頭の片隅でぐるぐると考えながらも、今はまだキスを続けたくって。

もう少ししたらヨーグルト食べて、
その後、買ってきたマニキュアを塗ってあげよう。
パールの入った明るめのグリーンは、きっと白い肌に映えるはず。

ほんとは全然怒ってなんていなかった。
意地悪したい気分だったんだ、というのは彼女には内緒にしておこうっと。
93 13日目 2002/09/06(金) 03:12

 13日目 おしまい
94 じゃない 2002/09/07(土) 02:10
ヒサブリに新作が届いたにも関わらず、連絡用スレを
激しく誤爆削除してしまいました。
ギョエーナサーイ(T▽T)
http://fire7.s2.xrea.com/momo/1014392444.html

また専用スレ用意しますか?
それとも、既存の総合スレ&感想スレを使いますか?
みなさんのやりやすいように、よしなに。

んあー ほんとスミマセンスミマセン(T▽T)